派遣会社のマージン率<ピンハネ、搾取って言われているけど・・・?>
派遣会社にマージン率があることはわかっているが、実際のところよくわからない、そもそもマージン率とは?マージン率は高いとピンハネされているの?など疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、マージン率とは何か、計算方法や内訳などを解説していきます。
目次
・マージン率とは何か
・マージン率の算出方法
・マージン率=派遣会社の利益ではない
・マージンの内訳
・マージン率の公開義務
・まとめ
マージン率とは何か
まずは、マージンとは何か? から理解していきましょう。
マージンとは、派遣先企業が派遣会社へ支払う料金である「派遣料金」から「派遣社員の賃金」を差し引いた額です。いわゆる、派遣会社が得ている取り分のことです。
わかりやすくするために図にしてみました。
厚生労働省が発表している「令和2年度労働者派遣事業報告書の集計結果」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199493_00012.html)から、実際の数字を当てはめて計算してみましょう。
・派遣料金※税込み(8時間換算)(平均)・・・24,203円(対前年比:2.4%増)
・派遣労働者の賃金(8時間換算)(平均)・・・15,590円(対前年比:2.3%増)
24,203円×10%=2,421円※小数点切上げ(消費税分)
24,203円-2,421円-15,590円=6,192円
平均マージンは6,162円となります。
つまり、派遣先企業が派遣会社に支払っている24,203円のうち、派遣会社には6,162円がマージンに当たるということです。
マージン率の算出方法
マージン率は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの毎年事業年度の労働者派遣に関する料金の額の平均額(派遣労働者1人1日=8時間当たりの労働者派遣に関する料金の平均額)から、派遣労働者の賃金の額の平均額(派遣労働者1人1日=8時間当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額)を控除した額を、その労働者派遣に関する料金の平均額で除することによって算出します(小数点以下四捨五入)。
マージン率はあくまでも平均なので、計算したけれども給料とあわない場合もあります。
また、マージン率は派遣会社や支店ごと案件によっても異なってきますので、注意しましょう。
業種 | 平均マージン率 |
IT関連 | 約30~41% |
サービス(営業、販売、接客など) | 約20~33% |
事務 | 約26~30% |
放送関係 | 約21~35% |
ビル・建設管理 | 約20~32% |
上記表は、厚生労働省の派遣事業報告を参考に当サイトにて作成
マージン率=派遣会社の利益ではない
マージン率が低い派遣会社は、派遣社員への賃金割合が高くなるため、良心的なイメージを持つ方もいるかと思います。一方、マージン率が高い派遣会社はぼったくりをしているのではないかと不満を感じる方もいるかもしれません。
マージン率が高いからと言って、マージン率すべてが派遣会社の利益にはなっているわけでは。
例えば、パソコンや英会話などのスキルアップ費用も派遣会社のマージン率に含まれていますし、派遣社員が有給休暇を取得した際には、派遣会社が有給休暇分の給料を支払わなくてはなりません。
このことから、マージン率が高いからと言って派遣会社がピンハネで稼いでいるとは言えません。
どのくらい福利厚生などに当てているかは、派遣会社にとって違いますが、マージン率の高い派遣会社に登録する際は、福利厚生がマージン率と見合っているのかを確認するようにしましょう。
マージンの内訳
マージンには以下の内容が含まれています。
・派遣社員に関わる諸経費
例えば、派遣社員のお担当者やコーディネーターの人件費、オフィス利用料や派遣社員の福利厚生サービスの拡張(社会保険料や労働保険料など)、派遣社員のスキル・資格などの研修費用(派遣社員の研修やe-ラーニング、資格取得費用など)です。
・有給休暇の費用
派遣社員が有給休暇の取得をする際は、派遣先が提供するのではなく、派遣会社が賃金を支払う仕組みとなっています。
・求人広告の宣伝費用
基本的に派遣社員を募集する際の費用はマージンから出されます。マージンが高い派遣会社は宣伝力に力を入れているかもしれません。
・派遣会社自体の事業運営費
派遣会社も事業を運営する費用がなければ、運営が困難になってしまい、人材を提供することができなくなってしまいます。運営が困難になると、自社で雇用した派遣社員の損失にもつながりかねないので、事業運営費は重要視する必要があります。
・派遣会社の利益
平均のマージン率に対して、1.2%前後が営業利益に当てられているようです。
あくまでも平均に過ぎず、会社によって最終的な営業利益は異なります。
参考資料『一般社団法人 日本人材派遣協会』
①派遣労働者賃金 70%
②社会保険料 10.9%
③派遣社員有給休暇費用 4.2%
①から③までは派遣労働者を雇用するためにかかる費用です。(85.1%)
・派遣会社諸経費 13.7% (事業運営、広告宣伝費など)
・営業利益 1.2%程度
マージン率の公開義務
労働者派遣制度における、いわゆる「マージン」には、派遣会社の利益にあたる部分のほか、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費等が含まれます。
また、平成24年の労働者派遣法改正により、労働者がインターネットなどにより派遣会社のマージン率等を確認し、より適切な派遣会社を選択できるよう、マージン率等の情報公開が派遣会社に義務付けられています。
マージンには、社会保険料、教育訓練費なども含まれているため、マージン率は低いほどよいというわけではなく、その他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
出典:厚生労働省 派遣先のマージン率等について(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00013.html)
マージン率については、インターネットで情報を共有するのが原則です。その他の例としては、「パンフレット・会社案内への記載」「社内イントラネットの活用」「ハローワークの求人票への記載」などが含まれています。
また、マージン率以外にも公開対象になっている情報があります。
・派遣労働者の数
・派遣先の数
・派遣料金の平均額
・派遣労働者の賃金の平均額
・労使協定を締結しているか否かの別等
・派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項
まとめ
マージン率が高いとピンハネや搾取されていると認識している方もいらっしゃるかとは思いますが、派遣社員をより良い人材に育てたり、働き続けてもらったりするために派遣社員の健康や生活を守るために必要な費用も含まれています。
そのため、マージン率が高からといって、ピンハネや搾取されているとは一概には言い切れません。
派遣社員を雇用し、長期で働き続けてほしいのであれば、マージン率について十分理解を深めてから雇用を検討しましょう。
マージン率とともに、福利厚生や教育の内容について詳しく公表されているケースも多く、いずれの情報も派遣会社を選ぶときに参考になります。
また、派遣会社の取り分は、各社で内訳が異なっているため、個別に確認が必要です。
マージン率の公開が法律で義務付けられても、取り分の割合を重視している派遣会社はまだ少ないようです。
派遣会社のマージン率と関連情報を事前に確認し、自社に合った派遣会社を選ぶときの参考にしましょう。
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