【法人向け】人材派遣会社の選び方、依頼をする際に伝えることを解説
人材派遣とは、派遣会社と雇用契約を締結した人材が、企業からのニーズに応じて就業する仕組みのことです。企業は労働者を雇用することなく、必要に応じてすぐに労働力を確保できるメリットがあります。
新型コロナウイルスの影響などで正規雇用が不安定な状況下では、ますますニーズが増えています。
それに伴い、企業様から「派遣を活用したいが、依頼の方法がわからない」、「派遣社員の方がすぐ辞めてしまう」などお悩みの声も増えてきました。
そこで今回は、派遣会社の概要から派遣会社に依頼するメリット・デメリット、派遣会社に依頼する際に伝えるべき項目を解説いたします。
人材派遣会社とは?
人材派遣会社とは、特定のスキルを持つ人材を雇用し、企業が求めるスキルに対してスタッフの派遣を行う会社のことを指します。
通常、企業が正社員を雇用するときには以下の手続きが必要です。
●労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の作成
●健康保険や雇用保険などの社会保険の手続き
●源泉徴収票と住民票の手続き
他にも、雇用した人に対して研修や教育を行うほか、職場環境になじむことができるようにサポートを行う必要もあります。
教育担当者の人的リソースを割いたり時間コストをかけたりして、戦力となる人材に育てていくわけですが、どれだけ万全の体制を整えていたとしても、雇用した人と、業務や職場環境との相性が悪くミスマッチが生じることがあります。
しかし、派遣会社に人材の派遣要請をすれば、上記のような育成にかけるコストが軽減されるほか、専門スキルを持ったスタッフが派遣されるので即戦力として活用できます。
また、通常、正社員やパートは企業と雇用契約を直接結び、業務の指示を受けて働きます。一方の派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社から給与や福利厚生を受け取ります。業務の指示は派遣先企業から受けるというのが大きな違いです。
人材派遣の種類
派遣の種類は以下の3種類に大きく分かれます。
●有期雇用派遣
●無期雇用派遣
●紹介予定派遣
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
有期雇用派遣
一般的に派遣社員というと、有期雇用派遣のことを指します。
スタッフは派遣の仕事を希望する派遣会社に登録し、希望や条件を提示します。雇用の契約期間が定められており、継続して雇用する場合は更新が必要です。更新がなければ派遣契約は終了し、上限は3年間です。(3年ルール)
多くの企業が採用している派遣形態であり、スタッフも有期雇用派遣で登録している場合が多いでしょう。
働く側が有期雇用派遣で登録する理由としては、以下のようなメリットがあると考えられます。
・個人の事情があり短期間で働きたい
・さまざまな仕事に挑戦してみたい
・結婚や出産、介護などライフスタイルに合わせた働き方をしたい
こうした働く側のメリットは、人材派遣を活用する企業側にとってもメリットがあるといえます。例えば、急な人手不足が発生したり、長期的な人材育成が難しかったりする際、期間を限定して派遣人材を活用することで事業活動を止めることなく継続できます。
企業側から見る有期雇用派遣の主なメリット・デメリットをまとめると以下のような点が挙げられます。
<メリット>
・事情に合わせた有期の雇用が可能
・育成コストの削減
・業務の効率化
<デメリット>
・人材の長期的な育成には向いていない
・会社への帰属意識が低い
無期雇用派遣
無期雇用派遣とは、2015年に労働者派遣法の改正で新しくできた派遣形態です。
それまでは、有期雇用派遣のように契約期間が設けられ、企業側からの更新がなければ契約終了という流れでした。無期雇用派遣の形態ができたことにより、契約期間という時間の縛りがなくなりました。
無期雇用派遣でも、派遣スタッフは派遣会社と雇用契約を結びますが、有期雇用派遣と違い雇用期間を設けない雇用契約となります。就業する派遣先との契約がなくても、派遣スタッフには派遣会社から給与が支払われます。
派遣スタッフにとっては次の派遣先が決まるまで無給になることがないため、安定した働き方ができるほか、落ち着いてキャリアプランを立てられるのがメリットです。
一方の派遣先企業にとっては、一定程度のスキルを保有している人材の派遣が期待できるのをはじめ、中長期的な戦力となる人材を確保できます。
無期雇用派遣を希望する派遣スタッフは、派遣会社に登録している人材のうち一定基準以上の人が対象となります。
また有期雇用派遣から無期雇用派遣に転換する事例もあり、その条件とは以下の通りです。
・同じ人材派遣会社で働いている
・通算で5年以上有期雇用派遣として働いている
・契約を1回以上更新している
この条件を満たしている派遣スタッフであれば、有期雇用派遣から無期雇用派遣へと転換することが可能です。
派遣先企業から見た無期雇用派遣のメリットとデメリットをまとめると以下になります。
<メリット>
・有期雇用の3年契約はなく、長期間働いてもらえる
・習得に時間がかかる業務を任せやすい
・企業と労働者側とのミスマッチを防げる
<デメリット>
・労働者派遣法第40条の5の第1項が適用され、派遣社員がいる場合は、正社員を募集するときに周知しなければいけない
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、最長6か月間の派遣期間が終了した後、派遣スタッフと派遣先企業の同意があれば、派遣先企業が正社員などで直接雇用できる派遣形態です。
紹介予定派遣のメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
<メリット>
・派遣期間に実務スキルや人柄を判断できる
・人材採用にかかるコストの削減が可能
・採用面でのミスマッチが防げる
<デメリット>
・直接雇用になったときに手数料がかかる
・派遣スタッフが直接雇用を断る場合もある
派遣会社に依頼する際に伝えるべき項目
では、実際に派遣会社に依頼する際に、主に伝えるべき項目を5つ紹介します。
①募集背景
事業拡大のために増員したい、欠員が出たために代替人員が欲しい、産休・病欠の社員の代替人員が欲しい、など企業の今後の目標や展望と合わせて伝えることで、派遣会社の担当者も依頼側の意図や要望を把握することができます。
また、人材の選定や提案の質を高めることにもつながります。
②業務内容と人事構成
派遣を依頼する部署の役割や業務内容などはなるべく細かく伝えましょう。
例えば、営業・事務といったよく知られた業種でも、企業によって実際の業務内容は大きく異なります。実際の業務フローや取り扱う品目などを現場からヒアリングしておくなど、できるだけ相手が業務内容をイメージできるように事前準備をしておきましょう。
派遣社員によっては、「少人数で働きたい」という方や「たくさんの人と関わりながら」働きたい」という方など希望している働き方も様々なので、人員構成を伝えることも大切です。
③就業条件
勤務時間や残業の有無、就業する曜日などの就業条件は、派遣会社の担当者が人選を行う
うえで重要になるため、必ず正確な情報を伝えましょう。
就業条件が合わなければ、スキルがマッチしていても紹介が受けられないため、派遣会社に依頼する前に、派遣社員に働いてほしい時間や曜日について固めておくことが大切です。
④資格やスキルの有無
業務を遂行するにあたって必要なスキルやOAスキルなどの条件についてもしっかり伝えましょう。
この際重要になってくるのが、条件を求めすぎないことです。
求めすぎると当てはまる登録スタッフがいなかったり、紹介を受けにくくなったりします。
依頼する前に、必須条件はなにかを話し合い、優先順位をつけたりするなど、要件を整理することが大切です。
⑤職場環境
ほとんどの人が職場環境を重視しています。例えば男女比や服装の規定などを気に掛けるスタッフもいます。
特に気を付けなければならない規定や規則がある場合は、詳細に伝えましょう。
雰囲気を伝えるために普段の仕事風景やメンバー紹介などをまとめるなど、資料を用意することも派遣会社に紹介したいと思ってもらえる要素の1つになるかもしれません。
派遣社員を募集する流れ
では、実際に派遣社員を募集する際の流れを見ていきましょう。
派遣社員の就業条件を決める
契約期間・業務内容・金額(派遣依頼料金)の条件面のほか、特性や人柄といったソフト面も決めておくとマッチ度が上がります。
派遣会社の選定・依頼
派遣社員の派遣を希望する場合、派遣会社の選定も重要です。
これまでの実績や拠点、対応職種、専門分野の有無などをもとに自社にあった会社を選び、派遣スタッフに頼みたい業務内容や就業条件が決まりましたら、派遣会社に依頼します。
営業担当にどんな人材が必要なのか、募集の背景や就業条件、業務内容、職場環境などを詳しく伝えましょう。
マッチング
依頼内容をもとに、人材派遣会社の担当者がスキルや醜状時間などの条件に合った派遣スタッフを選定し、紹介を行います。
ただし、派遣スタッフを履歴書や面接で選考することは、労働者派遣法によって禁止されています。
派遣スタッフが希望する場合には、事前に訪問もしくはオンラインで職場見学を実施することもあります。
派遣契約後、受け入れ開始
派遣スタッフが決定したら、派遣スタッフ名や契約期間など契約条件を記載した「派遣先への通知書」を派遣会社が発行します。
関係者への周知やアカウントの発行、業務に必要な備品の手配など基本的な流れは直接雇用の従業員と変わりはありません。
派遣社員を採用する際のポイント
派遣社員を採用する際のポイントを3つご紹介します。
①正社員と平等に扱う
正社員と派遣社員を差別してしまい問題になるケースもあります。
同じ会社で働いている仲間として、制度上やむを得ない場合の期別は必要ですが、理由のない差別は訴えられてしまうこともあるので、注意しましょう。
②社内ルールの勉強会や業務研修を設ける
業務や職場環境に慣れてもらえるように、社内ルールの勉強会や業務研修の機会を作ることが重要です。
スキルアップや社内制度に慣れることで業務の効率化や新たな仕事を任せられるなど、会社へのメリットにもつながります。
③依頼する業務兄用を明確にしておく
業務に関わる全ての社員に派遣社員に依頼する業務内容を共有しておくことで、スムーズに業務を進めることにつながります。
業務内容・方針の足並みをそろえ、誰がどの範囲の業務を行い、どこから派遣スタッフに任せるのかを明確にすることが重要です。
まとめ
派遣の最大の魅力は、必要な時に特定のスキルを持った人材を活用できることです。
募集から採用するまでに大幅な時間と手間がかかる直雇用と比べても、派遣会社に依頼することで解決できる点はたくさんあります。
人手不足の一時的な解消に限らず、利用企業・雇用される側の双方が有益な制度の運用をされることが重要ではないでしょうか。
今後より需要が高まる「派遣」を有効活用していきましょう。
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