テレワーク・在宅勤務・リモートワークの現在の状況について!<取り扱い派遣会社も紹介>
今回も、コールセンター業務を取り上げることにする。
この記事では、少しずつ私たちの働き方の1つとして認知されてきた「在宅勤務 コールセンター業務」の現状についてみてみましょう。
※この記事は、「一般社団法人日本コールセンター協会(CCAJ) 情報調査委員会」が実施した実態調査を参考にています。
もし、元情報に興味のある方は、参照してください。
※2022年度 コールセンター企業 実態調査(https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2022.pdf)
(トップページ: https://ccaj.or.jp/index.html)
調査対象の企業は大企業だけではなく、売り上げ規模が1億円~5億円の中小企業もサンプルとして含まれているため、参考資料としてある程度の信頼を置けそうです。
しかし、サンプル企業の数が少ないことも考慮して、早すぎる一般化にはご注意頂きたい。
◇在宅勤務者(テレワーク、在宅勤務)の採用予定とその理由
一般的にこのオフィス以外での勤務を指す言葉が3つほどあるので簡単に書きます。
- リモートワークという言葉は、従業員がオフィス以外の場所(自宅、カフェ、共同スペース等)で仕事をすることを指す。
- テレワークという言葉は、リモートワークの一形態であり、通信技術を利用してオフィス以外(自宅、カフェ、共同スペース)の場所で働くことを指す。
- 在宅勤務という言葉は、リモートワークの一形態であり、自宅で仕事をすることを強調して指す。
在宅にてコールセンター業務を行う者を同調査においては、「在宅コミュニケーター」と表現している。
同調査の調査回答企業数は、2020年度は50社、2021年度は41社、2022年度は51社である。
調査における回答企業数が年度によって異なるため、カッコ内に割合(%)を表示してみることにした。
回答企業の内、どのくらいが在宅コミュニケーター採用に積極的、又は消極的かを示す傾向として参考にしてください。
在宅コミュニケーターをすでに採用している企業は
⇒2020年度は14社(28.0%)、2021年度は13社(31.7%)、2022年度は21社(41.2%)。
在宅コミュニケーターの採用を予定していると答えた企業は
⇒2020年度は8社(16.0%)、2021年度は9社(22.0%)、2022年度は6社(11.8%)。
在宅コミュニケーターの採用を予定していないと答えた企業は
⇒2020年度は19社(38.0%)、2021年度は13社(31.7%)、2022年度は15社(29.4%)。
在宅コミュニケーターの採用予定については非公開と答えた企業は
⇒2020年度は9社(18%)、2021年度は6社(14.6%)、2022年度は9社(17.6%)。
「在宅コミュニケーターを既に採用してる」と答えた企業の割合①と、「予定している」と答えた企業の割合②を足し合わせると、
➡2020年度は22社(44%)、2021年度は22社(53.7%)、2022年度は27社(52.9%)
となる。つまり、近い将来、少なく見積もっても企業のうち50%以上は在宅コミュニケーターを採用していると期待できるのかもしれない。
①だけを見ても、調査回答企業のうち、在宅コミュニケーター採用を既に実施している企業の割合が増加していることは間違いないと言えそうだ。
また、③を見ると在宅コミュニケーターの採用を予定していないと答えている企業の、調査回答企業に占める割合は減少傾向にあるように見える。
こうしてみると、将来的にすべての企業が在宅コミュニケーター採用に積極的に舵を切るのではないかと推測する方もいるかもしれない。
未来のことは誰にも分らないのだが、ここから先は
在宅ワークを積極的に推進する企業の理由、慎重な企業の理由にはどういったものがあるかを見ていこうと思う。
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◇推進する理由、慎重な理由
まず、在宅コミュニケーターを既に採用した企業の理由から見ていこう。
繰り返しになるが、既に採用している企業は、2020年度は14社〈全50社中〉、2021年度は13社〈全41社中〉、2022年度は21社〈全51社中〉であることを確認しておこう。
「その他」を除いた上位3つの理由をここに示す。
①実施した理由の第1位:働き方の多様化
「働き方の多様化」と答えた企業数とその割合は(在宅コミュニケーターを既に採用していると答えた企業の内)、2021年度は14社(これはおそらく誤記で13社と解釈することにする。:100%)、2022年度は21社(100%)である。
つまり、在宅コミュニケーターを既に採用している企業はすべて、その理由に「働き方の多様化」を挙げている。
②実施した理由の第2位:事業継続計画
BCP(BUSINESS CONTINUITY PLAN :事業継続計画)を挙げた企業数とその割合は(在宅コミュニケーターを既に採用していると答えた企業の内)、2021年度12社(92.3%)、2022年度は20社(95.2%)である。
※BCPとは、企業が災害や大規模なシステム障害などの予期せぬ事態が発生した場合でも、重要なビジネス機能を継続または迅速に回復できるようにするための計画を指す言葉。
③実施した理由の第3位:採用が容易である
採用が比較的に容易になることを理由に挙げた企業数とその割合は(在宅コミュニケーターを既に採用していると答えた企業の内)、2021年度は1社(7.7%)、2022年度は5社(23.8%)である。
在宅コミュニケーター採用を予定していない企業の意見
ここでも、前提を確認しておこう。
在宅コミュニケーターの採用予定が無いと回答している企業数は(括弧内の数字は調査回答企業の全数)、
2020年度は19社〈全50社中〉、2021年度は13社〈全41社中〉、2022年度は15社〈全51社中〉である。
在宅コミュニケーターの採用予定が無いと答えた企業が挙げた理由の上位3つ示す。
①慎重な理由 第1位:セキュリティ上の問題
理由に「セキュリティ上の問題」を挙げた企業数とその割合は(在宅コミュニケーターの採用予定なしと答えた企業の内)、2020年度は15社(78.9%)、2021年度は9社(69.2%)、2022年度は10社(66.7%)。
②慎重な理由 第2位:現場マネジメントが困難
これを理由に挙げた企業数とその割合は(在宅コミュニケーターの採用予定なしと答えた企業の内)、2020年度は6社(31.6%)、2021年度は2社(15.4%)、2022年度は8社(53.3%)。
③慎重な理由 第3位:品質管理上の問題
これを理由に挙げた企業数とその割合は(在宅コミュニケーターの採用予定なしと答えた企業の内)、2020年度は8社(42.1%)、2021年度は4社(30.8%)、2022年度は7社(46.7%)。
推進する理由は、様々に解釈できる!
働き方が多様化して在宅勤務が完全に一般化した社会では、働く人から見ると在宅勤務が故に通勤時間が不要になるというメリットがあり、オフィスを小さくできる企業側からするとコスト的なメリットがあると言えそうである。
また、サービス継続が必須な官公庁のコールセンターなどの場合、BCPの観点からは、コールセンターの一つ一つの規模を小さくして地理的な分散を図ることは、災害の多い日本において重要な意味があるとも言えそうである。
慎重な理由にも理解できる点が少なからずあるよう思えます!
セキュリティは企業にとって極めて重要で、顧客情報を守ることは企業を守ることにつながるからであり、またコールセンターのサービス品質の維持・向上の観点も考慮すれば、在宅コミュニケーターの採用に慎重にならざるを得ないというのもうなずける。
また、偶然に発生する人間関係を土台とした知識交換(横のつながり、なんと無しになされる会話による)が、業務の品質やサービスの品質だけではなく職務プロセスの改善にも貢献していると考えるマネジメントの方も多くいる。
◇まとめ
在宅コミュニケーターの採用に積極的な企業の意見、慎重な意見を見てきたが、皆さんはどうお考えになっただろうか?
技術的な進歩などによって、セキュリティの問題が解消することができれば、個人も企業も共にメリットを享受できると考えられなくもないが、ただ、それだけでは解決できない問題が慎重な理由の第2位と第3位に示されていたことも忘れてはいけない。
全ての世の中の仕事が在宅ワークになるわけではないと思うが、少なくともいくつかの業種における仕事は、在宅ワークの割合が増えていくと考えられる。