過去10年間 就業者数を伸ばした産業とは?【労働市場>総務省統計局「労働力調査」】
この記事では、過去約10年間で就業者数が伸びた産業はどの産業かを見ていきます。
具体的には2013年1月から2023年4月までを見ていきましょう。
なぜ2013年1月からのデータなのかを説明しておきますと、以下のような注意書きがあるからです。
データに付随する“※注_Notes”の一部をそのまま転載する。
“労働者派遣事業所の派遣社員については,2012年12月までは,派遣先の産業にかかわらず派遣元の産業である「サービス業(他に分類されないもの)」で分類していたが,2013年1月からは派遣先の産業で分類している。そのため,産業分類間の移動(「サービス業(他に分類されないもの)」から派遣先産業への移動)があるので,時系列比較には注意を要する。”
10年間のデータと侮ることなかれ。意外と大きな変動があることがわかります。
“やっぱり、あの業界か”と納得する方も、意外だと考える方もいると思う。
では、早速見ていきましょう。
参考にするデータは以下
(総務省トップページ: https://www.stat.go.jp/index.html
労働力調査:https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html
使用したデータ:「長期時系列表1c-3 主な産業別就業者【第12・13回改定日本標準産業分類】-全国,月別結果」)
◇基本的な言葉の意味
まずは、調査で利用されている基本的な言葉について説明しておきます。
「15歳以上人口」、「労働力人口」、「就業者」、「従業者」、「休業者」、「完全失業者」、
「非労働力人口」と聞き慣れない言葉もいくつかあります。
まず、以下の関係式は重要だから、記憶しておいてほしい。
・「15歳以上人口」=「労働力人口」+「非労働力人口」
・「労働力人口」=「就業者」+「完全失業者」
・「就業者」=「従業者」+「休業者」
用語の説明は次のリンクで確認することができる。
(労働力調査 用語解説:https://www.stat.go.jp/data/roudou/definit.html )から引用
この記事では、「就業者」に着目していきます。
◇2013年1月から2023年4月までの産業別就業者数
様々な産業があるが、700万人を超える就業者を擁する巨大産業を“その1”として、270万人を超える産業を“その2”として、それ以下の産業を“その3”と分けてグラフにしました。
まずは、“その1”から見ていきましょう。
その1:「製造業」、「卸売行・小売業」、「医療・福祉業」
「製造業」と「卸売業・小売業」は概ね横ばいであるが日本における大きな雇用を生み出す産業カテゴリであると言えます。1000万人を超える就業者がいます。
この約10年間においては、特に「医療・福祉業」が就業者数を伸ばしたと言える。
凡そ738万人から凡そ910万人まで就業者を伸ばしました。(172万人の増加)
その2:「製造業」、「卸売業・小売業」
「製造業」と「卸売業・小売業」は概ね横ばいであるが日本における大きな雇用を生み出す産業カテゴリであると言えます。1000万人を超える就業者がいます。
「建設業」は若干右肩下がりではあるが、約470万人の就業者がいる。
「宿泊業・飲食サービス業」は2020年以降は若干元気がないように見えるが、それでも370万人程度の就業者を抱える産業です。
「運輸業・郵便業」はこの10年間、緩やかな右肩上がりで、おおよそ340万人から360万人に就業者を20万人程度増加しました。
「教育、学習支援業」に関しては、就業者数の成長が右肩上がりで、おおよそ300万人から345万人に就業者を45万人程度増加しました。
その3:「生活関連サービス業・娯楽業」、「金融業・保険業」
「生活関連サービス業・娯楽業」と「金融業・保険業」はこの10年間は横ばいです。
「情報通信業」は右肩上がりで、おおよそ193万人から約275万人へとこの10年間で就業者を82万人増加しました。
「学術研究・専門・技術サービス業」も同様に右肩あがりで、おおよそ208万人から253万人へと45万人ほど就業者を増加しました。
「不動産業・物品賃貸業」に関しても同様に右肩上がりで、おおよそ110万人から140万人へと30万人ほど就業者を増加しました。
◇まとめ
この10年間は「医療・福祉業」が就業者を最も増加させた産業で、172万人程度増加した。続いて、「情報通信業」で82万人程度増加。
そして「学術研究・専門・技術サービス業」や「教育、学習支援業」がどちらも45万人程度の就業者増である。
この数字から見ていくと、どの業界が伸びて居ることがよく分かり特に「医療・福祉業」一番伸びています。長期高齢化社会の日本だからこそうなずける内容ではあります。
派遣Magazineとしては、これから派遣業を始めるもしくは派遣で新たな業界に参入する際も是非参考にしていただきたいです。
これだけ伸びている「医療・福祉業界」はそれだけ人材も不足しているとも言えるからです。